景気の良い間は「仕事出す人もらう人」で細かい事は気にせずいられた。担当者同士も持ちつ持たれつの関係でいられたが今はそうはいかない。

仕事が減れば当然奪い合いになる。経費削減のためプロジェクト期間が短縮され人員は減らされる。こうなると発注元の担当者は今までのように惰性で仕事を投げるわけにはいかない。

低価格高品質を求めて取引先の内容を精査するようになる。結果、下請け業者間では自然と値下げ合戦になる。「他社より安くするのでウチを使ってください」そんな状況が出来た。

当然、金額のみで判断をするわけではないにしても現市況の適正価格を踏まえてサービスの内容を追求する。今まで仲良くしていた担当者同士でも値下げの話になると和気あいあいとはいかない。

両者とも上司や会社からの圧力があるため話はスムーズにはいかない。しかし最終的には立場関係によって値下げを断行されることになる。ネガティブな問題なだけに円満な解決にはならない事もある。

下請けは仕事が切られると死活問題なので値下げを受け入れざるを得ない。値下げには誠実で合理性を伴った説明が大切で、仮に担当者から十分な説明がされず強引で一方的な値下げを強行すれば何らかのわだかまりが出来るだろう。

良好に築いてきた関係にも水を差す恐れがある。人間、切羽詰まった時ほど本性が出るもので自分の立場を守るためにビジネスマナーに反する行為をする人も出てくるかもしれない。

景気が回復した時に関係は修復できるのだろうか。恐らく一度見たその人の本性は忘れる事が出来ないだろう。逆に、このような不景気で本当に困った状況を助けてくれた人には並々ならぬ恩義を感じ、危機を脱した際には必ずや恩に報いた行動に出ると思う。

不況を脱した時の勝負は既に始まっている。厳しい時代だからこそ本音が見える今。信頼関係の行方は自分次第だ。出来る限り色々な人と助け合って生きたいと思う。

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