結局二時間寝ないくらいで勝手に目が覚めた。少し早いが支度をして駅に向かう。駅には30分ほど早めに到着したが既に電車は来ており迷うことなく買っておいた指定席に座る事が出来た。よく、旅のブログを読んでいると「自分の席に知らない人が座っている」などとあるがそんな事はなくスムーズにアグラに到着。

駅構内の様子


なんか見てる


乗客リストか、キャンセル期待の人がこれみて一喜一憂するらしい


車内もいたって普通


ご飯配布、パンとコロッケ。暇だから食べるしかない


アーグラ到着


電車に乗っていた乗客も多いがそれを待っていた客引きも多い。もうこれ引き運だろ。選択の余地があるうちに適当な客引きに捕まってリキシャーを確保。一人が完全な運転手、もう一人が横に座ってトーク担当という二人組。タージマハルに行ってアグラー城に行って市内観光をしてからホテルに連れて行くという流れで500ルピーで合意。

乗っている間は簡単な英語で適当に雑談をする。ここではまだ良い人としか思えなかった。少し走って、某ホテル前で止まる。聞くと、「ここに荷物を預けていってください」と言う。タージマハルに入場する際には確かに持ち込めないものが多くロッカーに荷物を預けるのが通例となっているがこんな民間ホテルではなくタージマハルの施設に入れたいと強く言う。

ここで向こうが折れて無事タージに向かう事になるがいささか怪しさを感じた。着くと近くに行きつけのチャイ屋があるから飲んで行こうという提案をされたがさすがに朝から露天の店を巻き込んだ睡眠薬強盗もないだろうとタカをくくって飲む。普通に美味かったし問題なかった。

早々に飲み終わりいざ門へ向かう。荷物をロッカーに入れ2時間後に戻る約束で一人タージマハルに行く。ところでタージマハルと言えば小学生の時、社会の時間に教科書に載っていたタージマハルの写真を指して「ここおれんちだぜ!」と小学生ジョークをかましたところ、「これお墓だよ」と冷たく言い放った田村君の一言がまだ忘れられない。

国営とは思えないクオリティが怖い


いよいよタージマハル!


リベンジポルノに使われないか気をつけながら自撮り


シンメトリー!!


知らないインド人


何LDKやねん!(一応)


そんなタージマハルを一言でいえば「キレイ」です。大きい割に作りが雑になっているわけでもなく綺麗な正対象で圧倒された。これは確かに一見の価値はあると思う。ただし中に入った所で非常に狭く、棺らしきものをチラ見する程度で他に何もない。

メインの宮殿の他には特に見どころのないサブ的な宮殿とちょっとした展示物があるくらいで1時間あれば十分見て回れるくらいの広さだ。一通り見終わったので近くで修復作業をしていた職人の作業を勝手に見学。一心不乱に石を削って何かの模様を作り上げていく地道な作業。

2分だけ見るつもりが1分強余ったミニ博物館


こんなんで叩き切られても死ぬまで相当時間かかりそうで怖い


こういう地道な作業、いつまでも見ていられる派です


しばらく見ていると200ルピーを要求されたので撤収。何でもカネの世界なんだな。タージマハルを堪能した後はアーグラ城に向かう。ここは半分軍の施設になっているようで見られる場所も少ない。そして特に何もない。外から見ると迫力のある城のようだが中に入っても特に何もないんです。城と作りと、場内にいるリスを確認したので30分で終了。

途中で見つけた日本食と思われる店


ゲームみたいな感じでカッコイイ!


中は庭チックで見るもの何もなし!外見命の安っぽい野郎だな!


さて、肝心の市内観光だが大理石の小物屋とシルクの店を回って終了。うん、観光というかお前のリベート目当ての連れ回しと言うか悩む所だ。ただ、大理石屋のオーナーは日本人で、いや、インド人が帰化して日本人になったのだが日本語が堪能で非常にトークが面白かった。

日本へ雑貨や食品の輸出もしているという事で相当なお金持ちだ。ちなみに娘は青学なんだとか。で、たまたまインドにいたけど3日後には日本に戻るという。真偽のほどは確かでめようがないがあれだけ様々な事情を知っている所からして本当かもしれない。

ちなみにここで出されたチャイにはしょうが入っており、しょうがが苦手という理由をつけてほとんど飲まなかった。店内で他に客もいない状態だったので警戒心丸出し。両店では何も買わずに後にしたので若干気まずかったがシルクなど全く必要ないのできっちり断れた。

観光が終わり、ホテルに向かう途中、明日はどうするんだ?チケットはあるのか?駅までの手配は大丈夫か?などと道中を案じてくれているのか付け込む隙を窺っているのか、おそらく後者だと思うが細かく聞いてくる。

アーグラ駅からの切符は取れなかったので少し離れたツンドラ駅からバラナシ行きの電車に乗る事を言うと、「明日の電車は何時だ?」となり、その時間に駅まで送り届けられるようタクシーを手配しに行こう、と何故か旅行会社へ。あぁ、やっぱりこのパターンだったか、と落胆しつつも既にトゥクトゥクは勝手に向かっているの事と、有名な旅行会社と言うのでとりあえず行ってみる事に。

着くと、今はオーナーが居ないからと、またもや待ち時間。壁を見ると一面に感謝の手紙が貼り付けられておりそのほとんどが日本語で書かれてある。読むと困った時にこの旅行会社のオーナーに助けてくれた話がとにかく多い。というかそればかり。

これでもかってくらい日本語で感謝の手紙が貼り付けられている


そして何か感じていた違和感は、多くの手紙で使用していたペンが同じ。そしてしばしば筆跡が似通っている手紙が見受けられる。果たしてこれは本物なのだろうか。手紙を読みつつ待つ事20分。送迎タクシーの予約をするのにオーナーである必要ではない、予約して早くホテルへ向かってくれ!と強く言うとしぶしぶ何やらメモを取り出して駅名や時間をメモする。

そして出た金額が1400ルピー。あぁ、やっぱりだめだ。もう値下げ交渉も行わず黙って店を後にする。そして丁度店を出てトゥクトゥクに乗りこもうかという所にオーナーが戻る。彼も堪能な日本語を話すので色々と話し込んだ。立ち話している限りは良い人に思えるが彼の会社の従業員がボった所を見るとどうせ親玉の彼も似たような事をするんだろうと思い適当に切り上げホテルへ向かう。

ホテルへは意外とすんなり着いたがトゥクトゥクの彼は明日の9時にタクシーを来させるから、とまだ諦めない様子なのできっぱり断る。「今日分の料金を支払うよ500ルピーでしょ?」というと、案の定長文が始まった。要約すると「運転手の彼に450ルピー行く、残りはあなたの気持で決めてください」との事。「いや、500ルピーじゃないの?」と再度確認するも「あなたの気持で決めてください」の繰り返し。

確かに明確にボった金額を要求されたわけではないので500ルピー払って終わらせる事も出来たかもしれないが、序盤に彼が見せた優しさのせいで冷静に徹しきれなかった。手切れ金として1000ルピー払ってしまった。次の機会に備えて「手切れ金」をヒンズー語で言えるようになっておこう。

確かに騙されては無いけどこのむなしさは何だろう。そんな傷心のまま宿にチェックイン。するはずが、カウンターのマネージャーらしき人物から「予約がない」などと言われる。「いやいや、エクスペディアからしたのでこれを見てくださいと」予約確認画面を見せる。

予約したホテル。なかなかの清潔感が漂う


そのやり取りをしている間に一人の男性が何か罵ってホテルを出て行った。何かと思いながらやり取りを続けるもしばしば人が怒りにやってくる。このホテルはアカン。何とか予約は認めさせるものの「今日は満室になってしまってて部屋がない」などとふざけた事を。

「わかった、他のホテルを手配するから乗って」と道にいたトゥクトゥクに同乗する。走る事3分程度の近い距離にあるホテルでチェックインをさせようとするもそこのカウンターとも揉めている。困り果てた彼はどこかに電話をかけ「マイ、ボス」と言い電話を渡してくる。

何を話すのかすら全くわからないまま電話を代わり、ほとんど何も聞こえないまま勝手に切れた。結局そこのホテルにもチェックイン出来ずに一旦戻る事に。ホテルに戻るとカウンターで待ってたおじいちゃん客が何かを怒鳴りつける。マネージャーは謝って机から現金を取り出し支払う。

とにかく色んな人が怒りにくる、同情したらいけない。接客能力を上げろ!


納得のいかなそうなおじいちゃんはそれでも現金をもらって部屋に戻って行く。そうしている内にさっき乗ったトゥクトゥクの運転手がカウンターに来て金を要求する。私は全く言われのない金なのでYOUが払えとマネージャーを指す。強く繰り返すと折れて彼の財布から30ルピーが支払われる。

もう、この時点で最悪なホテルなのはわかっていたが早く横になりたかったのでチェックインを急がせた。すると、さらにクレームにきた客が増えてかなり強い調子で文句を言う。少しすると彼が離れたので何なのか聞いてみると「彼がチェックアウトしないから貴方が入れない」のような事らしい。インドだからとかじゃなくてこのホテルがだめなんだろうな。

先客の彼も相当怒り心頭なようでひとしきり大声で文句を言った後、カウンターに合った全ての客室のカギ5、6本を持ってどこかに行ってしまった。もうどうにもならなくなって諦めたようで先ほど連れていかれた代替ホテルに再度連れて行かれる。そこでどんな話し合いがあったのか分からないがチェックインできる事に。最初にホテルに着いてから軽く1時間は経過しての事であった。

ぶち切れて詰め寄る客


代わりのホテル。似たような感じ


部屋で一休みしてから近くを散策する。すると非常に子供が多い街のようで歩いているだけで子供が寄ってくる。皆口をそろえて「ハロー」とだけ。続く言葉はとくにはない。そして通る人の視線がいつにも増して強烈。日本人が旅行で来る場所じゃない所に入ってきたんだろうな。

散歩中に食べた焼きそば、20ルピー。安い=マズイのがインド流


気球が見えたが事故が怖すぎて一生乗る気は起こらないと思う


カメラ向けたらイケメンになった


子供はみんないい面構えしてるな、インド人って


ただ、子供に悪気はなく好奇心で近寄ってきているだけのようだった。ふざけて集まってきた子供相手に「空手ファイター!」と言って構えるとおおウケで皆真似をしてくる。軽くスパーのように動いてあげるとそのたびに「おぉー!」とざわつく。

撮ってもらっても写真もらえるわけじゃないのに、撮られるのが好きらしい


今回の旅、一番の良作


そんな反応も直ぐに飽きたので帰ろうと来た道を戻ると面白半分に皆着いてくる。もう何もしなくなった私に飽きたのか今度は「キャンディーをくれ、お金をくれ」と乞食根性をむき出しにしてきた。そこで彼らの写真を撮り忘れた事に気が付きカメラを向ける。

すると大喜びでポーズをとる。さっきの構えや蹴りのポーズをとる。あまりに良いシーンが撮れたので嬉しさから鞄に入っていたクロレッツ(ガム)の新品を2つ与える。すると鞄から出した時点でピラニアのように群がってきて危ないので一旦しまって少し離れた場所の地面に置いた。

するとビーチフラッグのように子供たちが日本のガムに目掛けて飛びつきだす。取れた子と取れなかった子で悲喜こもごも。取れなかった子からは不満そうに「マネー」という言葉が出始めた。やばい、ここで昨日のストリートチルドレンを思い出した。

彼らの要求には底がなく貰える人だと判断するとさらに強く出てくるという、将来当社の営業としてスカウトしたい逸材揃いだったんだ。そんな彼らに強く言う「金はない、ガムも全部あげた、もう何もない」そう言って小走りに距離を取った。それでもしばらく着いてくる子もいたがある程度離れると諦めて戻って行った。何かアクションゲームの的でそんなのが居た気もするが彼らのテリトリーが存在するんだろうなきっと。

こうして宿の近くまで戻ってくるとバットを持った少年が近寄ってくる。夕方とはいえまだまだ明るい。白昼堂々の強盗かクリケットのどちらかしかない!と思ったら少年は顔の距離30センチまで近づいてきて「クリケットしよう!」と笑顔で誘ってくる。良かった、クリケットの方だったか。

とりあえず好奇心で「いいよ」と即答したもののルールが全くわからない。そして誘っておいた彼の方も「ボールがないんだ」とどっちも過度な行き当たりばったりでぐだぐだ。その場には6人くらい居たのだが結局誰もボールを手配する事ができず、「また今度やろう!」と言う事になった。クリケットのバットを数回素振りさせてもらい生涯最初で最後であろう私のクリケット選手生命は幕を閉じた。

広場にあった謎の建造物


この階段、手すりがないです


上が気になるも階段が怖すぎて断念・・・


帰りにいた牛(多め)


ホテルに戻ってから多少早めの夕食を取る。焼きそばを一皿と水。これが意外に味が濃く舌に合った。全く期待していなかっただけに嬉しかったが衛生面については相変わらず残念な感じであった。

食事が終わって部屋でネットをしようかと店員にwifiパスを聞くと、1Fのロビーしか使えないという事を知らされる。諦めてシャワーを浴びようかと部屋のバスルームで蛇口をひねるも一向にお湯が出ない。最初のホテルの方が明らかに良いグレードだったはずなのにもう文句を言う気すら起らず今はただひたすらアーグラを出たい一心でいる。

明日のタクシーをホテルにお願いするとどうせボラれるだろうからかかる時間と費用だけ確認する「呼ぶか?」と聞き返されるも急に英語がわからなくなったバカの振りをして乗り切る。部屋に戻って今日のブログを書いてたらどんどんネガティブになっていく自分が嫌になる。

ここらへんでケチ旅行やちょっとのぼったくりくらい許容してみようという諦めの境地になる。煮詰まったので気分転換にガイドブックに載っている地元では有名なレストランに食べに行く事に。1Fのロビーを待機所にしているタクシードライバーに早速お願いする。往復で200ルピーとの事だったのでそれで了承。タクシーで5分ほどの距離にあるレストランだがツアーの団体客も多くかなり賑わっている。

雰囲気はかなりよい。欧米人が多い


エッグフライドライス、チキンスパゲティ、コーラを注文する。値段も見ないで頼んだものの910ルピーという日本で食べた時と大差ない値段。なんかもういちいち数百円の交渉しているのがバカらしくなってきた。こんなんじゃいつまでたっても川越シェフのお店になんか行けやしない。

日本で出たら残すであろうがインドならありがたいレベルの味。わかりづらいか


肝心の味の方は、エッグフライドライスはまぁまぁいけたがスパゲティの方はゆで過ぎて柔らかいのが残念。店員が「超美味しい?」と日本語で聞いて来たので「超、まぁ、うん・・美味しい」とたどだとしくなってしまったのでそこまで美味しくなかったが伝わってしまったもしれないがスパゲティはともかくチャーハンは結構美味しかったよ。

90ルピーをチップとした1000ルピー渡して店を出る。ホテルへ戻ってからは開き直って明日のタクシーも手配を頼んでしまう。その後、雑談をしてるとチャイをおごってくれたりとどんどん良い人になってくる。基本インド人はボラなきゃ良い人なんだよな。

明日からは多少、交渉の手を緩めたストレスのない旅行に切り替えるよう頑張る。相場が上がるから止めろという一部の上級者バックパッカーは精神的な疲弊をしつつ各国で戦ってくれ。結局ロビーで2時間くらいネットをやって本日の活動は終了。明日はとうとうバラナシ!まだホテルも取ってないけどたまにはいい所に泊まりたい気分。

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