ある裁判で興味深い判決が出た。某企業が「景気の悪化」を理由に、大学生に対して出していた内々定を取り消した。大学生は企業を損害賠償で訴えた。結果は「(採用への)学生の期待を不当に侵害した」という理由で企業に慰謝料の支払いを命じた。

今の時代、頻繁に聞く内定取り消しはもはや他人事ではない。しかしながらこの手の裁判で慰謝料判決が出たのは国内では初らしい。この判例を知った同じ立場の人間がバンバン訴訟することにもなりかねないし企業は採用対してさらに慎重になる。

ここでふと思ったのは、内定取り消しで慰謝料が出るのであれば内定辞退をした学生に対して企業は損害賠償を問えるのではないだろうか?今回の名目は慰謝料、新卒という有利な就職機会を逸した事に対する慰謝ということになるのだろうか。

確かに学生は一つの会社しか選べないため、選んだ会社から内定を取り消されれば被害は甚大。就活にかかった履歴書、写真、交通費、など金額的には大金ではないかもしれないが費やした時間を考えればいたたまれない。慰謝料という名目も納得。

対する企業だって採用にかかるコストというものがある。説明会(就職博)の会場やパンフレット、採用媒体、関わる人間の時間費用、オフィスに用意するデスクや物品、研修費用。入社日に近づくほど金額は大きくなる。

企業側は一人に内定を辞退されたからといってかけた費用の全てが無駄になるわけじゃないが10人に内定を出していれば費用の10分の1は請求してもいいんじゃないかという理屈も裁判では成り立ってくる気がする。

学生と企業、どちらも事情があるのだろうがその辺りは今までうやむやになってきた部分はある。この手の問題の多くは和解金で解決していたのだろうがこのような判決が出たとなると全国各地でこの手の裁判が頻発する事が心配でならない。

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